想像力を掻き立てる神話の世界
神話というものは、信仰の有無にかかわらず現代人に問いかける力を持っています。読む者によっていかようにも異なる示唆を与えてくれる多元的な知恵の結晶であり、人間とはどんな存在で、何のために生きているのか、この世界とはどんなものか、どのように誕生したのかなどの我々が一度は抱く形而上学的な問いかけに対し、寓話的にこたえてくれているのです。
その中でもギリシャとローマの神話に、一度は挑戦したいと思っている方は多いと思います。その魅力はなんといっても、我々にとってなじみの深い太陽や海、稲妻などの自然物や自然現象を人格化した神々、また知恵や美といった重要な概念を象徴した神も数多く登場して織りなす、豊富な逸話にあります。
彼らは、神としてふさわしい寛大な慈悲の心と自らの属性に応じた超絶的な力でもって我々人類に恩恵をもたらす反面、神でありながら怒りもするし、泣きもするし、失敗もするし、後悔もするし、嘆きもするし、時には下位の人間にさえも嫉妬するのです。そうした人間的な側面(逆かもしれませんが)こそが、むしろオリンポスの神々を化石や彫刻のような過去の遺物ではなく、まるで永遠の命を与えられたかのように生き生きと神話の中で躍動する存在にしていると思います。
古代に生み出されたギリシャローマの神話体系は、いまなお現代人に大きな影響力を及ぼしています。とくに西欧では学ぶべき教養の一つであり、中世から近世、近代を通じ多くの芸術家や作家たちに霊感を与え続けています。
ギリシャ・ローマの神話を紹介する本は数あれど、一つに絞るならこのトマス・ブルフィンチ版の本書をお勧めします。
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