ショートショートの傑作集
星新一といえば、ショートショート(掌編小説)の神様と呼ばれた作家です。戦後、数々の作品を世に送り出してきました。この作品は、とくにお気に入りのひとつです。
作者は元来、SF作家のイメージがありますが、実際の収録作品のジャンルやストーリーは多種多様です。看板のSFものはもちろん、ミステリー風味の作品や昔ながらのおとぎ話をアレンジした作品もあります。
たとえば、〈小さくて大きな事故〉は前者に属し、ある女が自分を脅していた夫を事故に見せかけて殺すことに成功するのですが、夫のほうも妻の反逆を予期していて、ある対策をとっていました。妻は窮地にたたされるものの、最後に意外な形で救われることになるのです。これはロアルド・ダールの作品を彷彿とさせます。
〈ジャックと豆の木〉は後者に属する作品。主人公のジャックは要領が悪く、人から騙されやすい人間で、自暴自棄となり死のうと思って縄をさがしていました。そこで偶然、雲までのびる縄を発見します。と、ここまではおなじみの展開なのですが、のぼったさきが宇宙船であったのは、作者らしさがでている良作です。
星作品に共通するのは、短いなかにも豊富なプロットのバリエーションがあり、なにより結末のオチにこだわりを感じさせるところにあると思います。
また、数十年前に書かれた作品群にもかかわらず、内容は普遍的テーマにあふれ、時代を超えて色褪せないのも魅力です。作者自身もそのことを意識していたのか、何度も改稿していたそうです。
一見すると、どの作品も童話のようなシンプルな文体で表現されているものの、大人が読んでもうならせる質の高さを有しています。ゆえに、子どもから大人まで幅広くおススメしたいです。ぜひ、ご一読を!
kindle版が、とくにおススメ!
リンク
コメント