ファンタジックで官能的な司馬作品
国民作家司馬遼太郎といえば、日本の歴史を扱った長編小説の傑作を数多く残したことで知られていますが、個人的には優れた短編作品にも目を向けられるべきだと考えていました。
氏の短編は長編で築き上げたイメージと程遠いもの作品もあり、表題作の「ペルシャの幻術師」がそのひとつです。読んでみると、ユーラシア大陸を制覇したモンゴル帝国の史実ををベースにしながらも、そこへ中東ペルシャ風の超自然的な世界観を導入した野心作です。短編の中でも短いほうですが、読めばそのファンタジックな物語に心奪われることは間違いなしです。司馬遼太郎名義で書かれた最初の作品であるにもかかわらずなぜか、全集を編集する際に作者自身によってリストから外され、のちに最終巻にかろうじて併録されたのは意外なほどです。
本作ともう一つお勧めしたいのが、「兜率天の巡礼」という作品です。これも現代日本から過去の中国大陸にまでさかのぼる時空を超えた異色作ですが、読み応えのある作品に間違いありません。
有名な長編作品だけでなく短編集にも触れることで、司馬遼太郎という作家の偉大さを改めて知ることができるはずです。ぜひ、ご一読を!
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